【2010.01.29】 『第14回国会勉強会』レポート
【内容】
「両親の離婚と子どもの最善の利益 ―親共同養育・面会交流法の提案―」
【講師】
棚瀬孝雄(中央大学法科大学院教授・弁護士・日弁連家事法制委員)
【参加者状況】
参加者総数136名
<内訳>
・国会議員関係43名
(国会議員本人11名、秘書32名)
・マスコミ関係11名
(6社:NHK4名、日本テレビ1名、朝日新聞3名、毎日新聞1名、産経新聞1名、NBCニュース1名)
・一般その他82名
(一般68名、弁護士7名、大学教授等3名、外国人4名《うち在外議員1名》)
総参加者数、議員本人参加者数、秘書参加者数、一般参加者数ともに過去の勉強会で、圧倒的に最多でした。また、今回の特記事項は次の通りです。
①最後まで参加していた議員本人が多かったこと。
②議員本人の質問が多く、質問内容も、議員の関心の深さを示す質問が多かったこと。
③国内テレビ局が2社取材に訪れ、NHKは開始前から最後までカメラ撮影取材していたこと。
④NHKの解説委員が2名参加していたこと。
⑤弁護士が7名参加していたこと。
以上報告:川口
【所感】
国会での勉強会も14回ということですが、今回は棚瀬先生の「離婚後共同養育法」についての提案があるとのことで大変期待して参加しました。予想どおり、 時間になると続々と参加者が詰めかけ立ち見の方々も出て、皆様の熱気でエアコンをMaxにしても熱いぐらいとなっていました。
下村議員の開会ご挨拶においては、離婚家庭での子どもの貧困の問題、あるいは、ハーグ条約を批准していないことによる国際間の子どもの連れ去り増加の問題等について等のお話があり、これらに対処していくためには、与党も野党もなく共通認識をもち、子ども・非監護親が「まず、会えるようにする」事を 国会の中でも議論していきたい旨の、大変心強いお言葉を頂きました。
棚瀬先生からは、現代の深刻かつ大変問題の多い状況を国内外の状況を含めた背景からご説明頂き、その為にどのような法律を持つべきか、引き離された親や子どもにとって、本当に助けとなる法律案とはどのようなものなのかを分かりやすくご説明頂きました。
そして、日本国内では親子の交流を認めない例外事由が一般的であると認められていること、別居の直後から子どもに「会いたい」と言ってはいけない 抑圧が加えられることなど、当事者として体験しなければ、中々理解しがたい現状についてもご説明頂き、各議員さんにも現状を良くご理解いただき、問題意識 を持っていただけたものと思います。
また、従来からキーワードとして良く使われ、かつ目指すべきところと捉えられていた「共同親権」という言葉と実際に共同親権を採用している諸外国 の現状についてもご説明いただきました。共同親権を選択可能な米国・ドイツでも多くは単独親権でありながら親子の交流が確保されている事は意外でしたが、 この事からも、目指すべきは「共同養育」である事が良く理解できました。
今回の棚瀬先生のご説明の中で特に印象に残ったのは、「子どもの連れ去りは、子ども自身、そして、連れ去られた者の人間としての尊厳を傷つける行為なのだ。」という箇所です。(実際には連れ去った者の人格を傷つけることにもなるでしょうが・・。)
子の連れ去りが原因で、多くの事件が発生している事は周知の事実であり、今の調停・審判をはじめとする司法の現場、あるいは、DV法を利用した「政策」により誘発されている、相手を貶めて自己の権利を保全・拡大しようとする方向性は誤りであるとの認識を強くしました。
質疑応答の時間においても、国会議員さんをはじめとしてご出席者の方々から様々な質問があり、養育費の問題、司法の守旧性に関わる問題等についても明確で、わかりやすいご説明を頂き大変役に立ちました。
今後は、ぜひさらに多くの国会議員・地方議員の方々にご参加頂き、法案成立にむけて、一歩一歩前進することができれば良いと思います。皆様もぜひ、次回勉強会にご参加頂き、本法律案についてご検討頂き、子ども達のために、より暖かい社会が実現できるようご協力いただければと思います。
モデル法案 『共同養育親子交流促進法(第3d案)』 はこちら
以上報告:片