【2011.12.29】 親子ネット講演会 コリン・ジョーンズ先生出版記念 「子どもの連れ去り問題」を考える レポート
[1] 開催日時
平成23年11月12日に開催しましたコリンジョーズ先生出版記念講演会「子どもの連れ去り問題」について、報告いたします。
[2] 先生の紹介
先生は、ニューヨーク州およびグアム準州の弁護士であり、現在は同志社大学法科大学院教授としてアメリカ契約法等の講義をされています。
また、先生は、「子どもの連れ去り問題」を今年の3月15日に出版されていて日本の家族法にも精通されています。その理由はぜひ本書を御覧いただければと思います。
なお、弁護士で大学の教授!だから、権威の塊で強面の気難しい方なんだろうなと思う方もいるかもしれませんが、暖かみのある表情とやわらかい口調で挨拶をされると、大間違いだったことに気づかされます。(おまけに背が高くてスマートです!)ちょっと話がそれました。
[3] 会場の状況
講演会は、北の丸公園内の科学技術館で開催されました。私は駅から武道館の前を通って行ったのですが、晴天のためか親子連れがたくさんいて、とても楽しそうに過ごしていました。ふと、その景色に溶け込みたくなり、武道館前の売店でアイスを買いました。でも、いざその場に座ろうとすると、なんとなく違和感が出てくるのです。で、どこで食べようかと考えながら歩いていると、Iさんがベンチで弁当を広げていたので、御一緒させていただきました。私とIさんは、近況を話しながら今日の講演会を前に、改めて親子の交流の問題解決を誓いました!また、話がそれました。
会場は100人超を収容できる会議室であったにも係わらず、ほぼ満席となりました。会員の方、遠方の方、当事者の両親、弁護士、マスコミ等と多彩な顔ぶれでした。これは、「子どもの連れ去り問題」についての関心の高さの現れといってよいでしょう。
[4] 概要
講演会は二部構成で開催しました。
第Ⅰ部のジョーンズ先生の講演では、先生の新著「子どもの連れ去り問題~日本の司法が親子を引き裂く~」の内容を中心として、我が国で起きている親子引き離し問題の実態、日本と諸外国の比較、ハーグ条約の問題など、離婚と子どもの養育に関わる法律の問題、法運用の問題を幅広くお話しいただきました。
第Ⅱ部では、「親子が引き裂かれないようにするにはどうすればよいか」 と題して、ジョーンズ先生の他に、司法や保育の専門家を交え、親子ネット代表の藤田をコメンテー ターとして、子どもの連れ去り問題を解決するにはどうしたらいいのか、法律、政治、教育など様々な視点からの意見を出していただきました。また、フロアからのコメントや質問など、たくさんの発言があり、予定の時間を超えても発言が相次ぎました。
[5] 感想
先生の講演で、特に私が印象的であったのは、「子どもの福祉」、「子どもの利益」を所管とする役所・役人の安易な自己満足が大敵であるという点です。
「親の子に対する責任は重大だが、公的機関の責任が親、子へ転嫁されるときの手法に敏感になろう」という先生の提言は、この問題に携わる多くの関係者(先生は他人と表現されていました。裁判官、弁護士、行政、政治家など)が最も認識しなければならないことでしょう。
そして、パーフェクトな親はいないがパーフェクトなお役所、政策及び方針はないこと、子どもの福祉の実現は「点」ではなく「プロセス」であること、問題のある親でも子にとって一生の存在であることを関係者(他人)がもっと意識するべきという点は、非常に的を射たものであったと感じました。
今般、民法第766条が改正されました。また、現在、ハーグ条約の批准に向けて関係事項が審議されていて、国内法についても議論が始まっていると聞いています。
関係者(他人)にはこのことをよく理解して頂くことを期待して、また、実質的な親子の交流が可能となるシステムの構築に向けて、親子ネットでは活動をしていければ良いと思います。
[6] 私事
さて、私は、平成22年7月に妻が別居と同時に子供達(当時小3、小5)を連れ去られてしまいました。平成23年6月に調停を結び、幸いにも子供達に会うことが可能となっています(問題を抱えていますが)。私は当事者になるまでこのような問題を全く知らず途方に暮れましたが、親子ネットを知って本当に助けられました。
その私が今年から運営委員として携わっているのは、H氏の「何かできることはありませんか?」の一言からだったかと思います。世の中を変えるために何か手助けできればいいと、思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
[7] 謝辞
最後に、このような講演会を開催できたのは、手弁当意で運営に携わっている中心的な運営委員の努力もありますが、各会員の皆様の切実な願いが後押しとなっているのは言うまでもありません。
参加された方、遠方や所要で出席できなかった会員の方々には改めて感謝を申上げるとともに、今後とも親子ネットの活動に応援をよろしくお願いします。