【2010.10.10】 『親子ネット全国集会』レポート
親子ネット全国集会は「離婚後の共同養育」をテーマとして、親子ネットならびに他の関連団体、個人の協賛、後援を得て、9月29日(日)に中央大学後楽園キャンパスで開催されました。
当日は、親子ネット代表の河邑の挨拶で始まり、最初のプログラム”引き離された「子ども」たちの現在”では、親の離婚を経験したKさんの体験談が、司会者とのインタビュー形式で語られました。当事、小学低学年だったKさんは、幼くても両親の離婚という異変に気づき、同居親には何も言えなかったが、内心では非常に複雑な感情を抱え、思い悩んでいたということがひしひしと伝わってくる内容でした。中でも「養育費の言い争いを聞くと、身代金の様だと感じた。」、「お金を貰って会いに行く。まるでレンタル子ども」とお話をされていたのが印象的で、離婚で一番傷つくのは子どもなのだと、再認識させられました。
“共同養育実践インタビュー「共同養育って素晴らしい!」”では、日本で共同養育を実践されているMAIKO元ご夫妻のインタビュー映像が紹介されました。MAIKO元ご夫妻はご両人とも、子どもの視点を最も重視されていて「縁あってお父さんとお母さんの間に生まれた命なのだから、平等に両方に会うのが当然だと思う」、「(離婚後は)親の身として、子どもにやってあげられることは変わってくるけど、子どものために、色々とやらなければいけないことは変わらない」とご自身のことよりも、子どものことを優先して行動されている点に感銘を受けました。
午後からは棚瀬孝雄先生、円より子先生、池内ひろ美先生、青木聡先生、小田切紀子先生と、そうそうたるメンバーで、共同養育に関するパネルディスカッションが行われました。午前中に当事者の体験談を傍聴していたせいか、普段よりもより具体的なイメージを持って議論を聞くことができ、より多くのことを感じ、学ぶことができました。
パネルディスカッションでは、専門家によるとても密度の高い議論が行われたため、レポートで詳細をお伝えすることは出来ませんが、棚瀬孝雄先生の離婚後家族法の欠如による問題点の説明、円より子先生の親権の定義変更の提案、池内ひろ美先生の親の成熟度についての問題提起、青木先生の海外で行われている共同養育の最新情報の紹介、小田切先生が開催されている離婚を経験した子どもが集まって行う合宿で起きた出来事の紹介と、とても参考になるお話ばかりでした。
<青木先生資料>海外の共同養育最新情報紹介と日本での調査結果
円より子公式サイトでも紹介されました
http://www.madoka-yoriko.jp/blog/771/
当日はビデオ撮影が行われていたので、集会に参加出来なかった方には、今後定例会でビデオ上映も予定しておりますので、是非ご参加ください。
上記の議論と、その後の質疑応答を聞いていると、共同養育に積極的な方も慎重な方も共同養育の必要性もしくは有益性を認識された上で、養育プランや親教育プログラムといった共同養育の実現、運用に向けた制度の議論が行われていたと感じました。また、共同養育を行う上での注意点として、離婚で傷ついている子どもが更に傷つかない様に安心できる面会交流の仕方や、DV(ドメスティック・バイオレンス)があった場合の面会交流の具体的な方法など、多角的な視点で議論が行われていました。
この様に議論を通して、共同養育のメリット、デメリットが整理され、制度のモデルが洗練されていく、また、当事者が親としての自覚や、より良い選択肢を学んでいけば、共同養育が実現できる日も決して遠くないと思いました。
パネルディスカッションの後は、棚瀬孝雄先生から、現在作成されているモデル法案の紹介と、理念の説明が行われました。新しいモデル法案は、近々に完成する見通しとのことですので、こちらの発表もご期待ください。
モデル法案 『共同養育親子交流促進法(第3d案)』 はこちら
その後は、声明賛同者の方々と代表の河邑が壇上に集まり、離婚後の共同養育を求める共同声明が読み上げられました。読み上げられた共同声明は、その場で、集会に参加されていた自民党の下村博文先生に渡されました。
下村博文先生は、親子の絆の重要性と、子どもの貧困に関する問題に触れられた後に、今回の大会の成果を国会に反映していただく点と、子どもの最善の福祉のために、この国が果たすべき役割について頑張って頂くことを約束していただきました。
下村博文公式WEBでも紹介されました
http://hakubun.jp/blog/
全国集会での下村先生の挨拶動画はこちら
下村博文先生の他にも、民主党からは枝野幸男先生、牧山ひろえ先生、中野譲先生、渡辺浩一郎先生、自民党からは馳浩先生、公明党からは池坊保子先生、社民党からは服部良一先生から、そして日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャンからもあたたかい応援メッセージを頂きました。
【いただいた応援メッセージ】
枝野幸男衆議院議員メッセージ
牧山ひろえ参議院議員メッセージ
中野譲衆議院議員メッセージ
渡辺浩一郎衆議院議員メッセージ
馳浩衆議院議員メッセージ
池坊保子衆議院議員メッセージ
服部良一衆議院議員メッセージ
アグネス・チャンメッセージ
最後に、親子ネット副代表の藤田が閉会の挨拶として、『裸の王様の素直な子ども』のように、当事者が内に秘めた想いをそのまま声に出すことで事態を変えようと参加者に呼びかけ、親子ネット全国集会は幕を閉じました。
離婚後の共同養育を訴えるデモは、今回の親子ネット集会の最終章として大々的に行われた。午後16時半に東京メトロ後楽園駅近くの礫川公園に50名以上が集結し、共同養育を訴える内容の数々の横断幕やのぼり、また「共同養育」と記載された緑の風船を一人ずつが幾つも持って望んだ。
警察の誘導のもと、最も左の車線を春日通りから白山通りに進み、およそ40分にわたって行進を続けた。先導する車両にも、大きな文字で書かれた横断幕を貼り付け、その車に乗り込んだ女性当事者2人が声を張り上げた。
「共同養育を実現しよう!」
「子供を勝手に連れ去るな!」
「子供を会わせないのは、児童虐待だ!」
「子供は両親それぞれから愛情を受ける権利がある!」
女性当事者の大声に続いて、デモに参加した全員が大声を張り上げる。太鼓を叩いている当事者もいる。
時には警察官がデモの進行を優先して信号を遮断して歩行者を足止めさせるシーンもあった。当日は休日ながらも、近隣に大学が多いという場所がらもあって、若い人たちが多く、「何事か」という視線もあったが、横断幕やのぼりなどで訴える内容を明確に訴求したこともあり、中には真剣な顔つきで、聞き入ってくださる方も見られた。
およそ2kmくらいだったであろうか。最後に神保町の錦華公園に全員が集まり、デモは終了。参加した全員で記念撮影をし、有意義な総会を締めくくった。
当事者が集団となって声をあげ、10,000名、100,000名が集まるようになれば、国は必ず法改正に踏み切らざるを得なくなる。全国の当事者の皆さん、勇気を出して、我々と一緒になって一歩を踏み出してみませんか。現状を変えられるのは我々当事者でしかありません。