【2010.10.14】 浦野靖人府議員(大阪維新の会)の9月議会 『健康福祉常任委員会』での質問
【質問趣旨】
・児童虐待事件が後を絶たない。背景には我が国固有の単独親権制度があるのでは?
・分れても両親が子に関われる 制度であれば、異常が察知でき未然に防げる。
・昨年、大阪府議会で『共同親権意見書』が全会一致で採択 されたが、府としても、何らかの施策を講じる必要があるのでは?
【全文】
それでは、早速ですけども、始めたいと思います。
虐待防止の観点からですね、2点ほど質問をしていきたいと思います。
府議会でもですね、昨年9月議会において、離婚後の親子の面会交流に関する法
整備と支援を求める意見書が全会一致で採択され、国に対して意見書が提出され
ていることはご存知だと思います。これは、我が国の民法が明治民法を基礎と
し、親権法においては戦後の憲法制定時に女性が親権者になれるように改正した
のみで、子どもの福祉の観点が欠落した単独親権制度を採用し続けているため、
現在の社会状況に合わない様々な歪が生じているからであります。こうした点を
是正する為に、法律を改正し、離婚後も両親がそれぞれに親としての義務を行使
出来るようにしていただきたいというのが、意見書の主旨でありました。離婚後
も両親それぞれが出来るだけそれぞれに子どもの養育時間をとる、相対的には非
親権者である親の子どもとの面会を実質的に養育と呼べるレベルまで時間数を引
き上げることを主旨としたもので、共同養育と表現するよりは寧ろ…まぁ共同養
育とか色々言い方はありますけども…平行養育という表現をしたほうが内容的に
は良いかもしれないです。
また、国際的な子の奪取に関する民事面のハーグ条約というものがあります。内
容は、国際結婚が破綻した夫婦に子どもが居る場合、一方の同意なく子どもを国
外に連れ去ると、条約締結国間では基本的に子どもを元居た国に変換することを
求めたものです…あー、定めたものです。条約にはですね、このほかにも親子の
面会交流に関する規定もあり、子どもはどちらの両親とも切断されるべきではな
いということを理念にしています。実はこの条約について日本は世界八カ国から
締結を迫られており、つい先日もですね、アメリカの下院で416対1という圧倒的
多数で日本に対して締結を求める決議がされております。しかしですね、このこ
とに対して政府は未だに批准に積極的な姿勢は見せていません。ま、見せていな
いというか、見せられないというかですね、親権制度の問題が実はあるからで
す。諸外国の殆どは離婚後も両親共に親権を持つ共同親権制度、両親それぞれが
子どもの養育に関っていくといった制度を採用しております。子どもはどちらの
両親とも離れるべきではないという理念、法律、原則が浸透しています。この点
が、我が国で未だに採用されている単独親権制度とは真っ向から対立して、離婚
後の親子の面会すら担保されていない我が国の制度とは法的整合性がとれず、条
約の批准を一層難しくしているわけであります。
この単独親権制度の歪みはですね、親権を失った実の親と子の関係を断絶してし
まうという側面に止まらず、社会問題化する児童虐待の構造的原因になっている
とも考えております。単独親権は一方の親のみに養育を負担させる制度であるた
め、親権者となった親にとっては実際の養育と家庭経済の過重な負担を受けるこ
とを意味します。更に、離婚後の人間関係を半減させ、一人親・子ども共々孤立
した閉鎖的環境へと誘導する側面もあります。また、一人親家庭の貧困率の高
さ、これは皆さんご存知の通りでありますし、その原因として養育費の不払いを
指摘する、まぁ私はこれはかなり大きな部分を占めると思っています、しかし貧
困に陥っているのが母子家庭ではなく父子家庭も同じ状態でありますし、やはり
養育費は寧ろ一人で子どもを抱えての収入の困難さに由来するんじゃないかなと
いう風にも考えます。以上の点から考えれば、単独親権制度が児童虐待の構造的
要因の一つになっていることは間違いないと考えております。この点については
滋賀県の嘉田知事もですね、8月に言及しておりますし、東京都の福祉保健局も
ですね、2005年に行った調査で児童虐待に繋がったという家庭の状況が一人親家
庭は38.88%という結果を公表しております。ま、色々と行政側もですね、児童
虐待について、色々対応・苦労されていると思いますけども、この親権制度が親
権が一方にしかなくなってしまうということでですね、実の親がですね、子ども
と会えずに、西区の件でもそうでしたけども、実のお父さんが全く子育てに関っ
ていない、その点でですね、虐待の発見に至らなかったというケースは多々、現
場のほうからあるという風に私も聞いております。この点からするとですね、単
独親権制度を改めて双方の親の養育の権利と責任を明確にする制度を導入したほ
うが良いと思いますけども、大阪府の見解をお願いいたします。
はい、山内子ども室家庭支援課長。
共同親権についてお答えいたします。現在日本では民法第819条によりまして、
未成年の子どもがいる夫婦が離婚する時には一方どちらかを親権者に指定する、
ということになっております。別れて暮らしている親権者でない親御さんと子ど
もの面会につきましては、現在法律では明文化されておらず、当事者間もしくは
裁判所の調停や審判を経て取り決められております。但し、この面会交流には強
制力がなく、決められたものの実行されない例をあると聞いておるところです。
親権制度につきましては、国におきまして法務大臣が衆議院法務委員会で共同親
権のあり方について必要だという方向になれば法制審議会なりで議論していく
旨、答弁をなされておられます。府といたしましては、子どもの最善の利益が守
られるような制度となりますよう、この動きを見守ってまいりたいと考えておる
ところでございます。
はい、浦野議員。
国の法律を改正しない限り、これはなかなか前に進まないとは、勿論思いますけ
ども、私の知り合いの方でですね、先日、もういま運動会のシーズンももうほぼ
終わりましたけども、運動会に別れた方がですね、自分の子どもの運動会を見に
行きたいということで、学校に運動会の日はいつですか?と聞きますと、学校側
が親権者である母親に問い合わせをして、言っても良いですか?ということを言
うて、母親がそれを拒否して、それを以って、お答えすることは出来ませんとい
うことで断った、断られたという例が、実はあります。その方は納得がいかない
ということで、教育委員会のほうに内容証明を送って、会う権利はあるはずだと
いうことで正式な回答を求めたそうです。ところが、親権者の意向によりあなた
と会う必要はないということで、教育委員会から正式な回答があったということ
で、非常に憤慨をされておりました。この会う権利というのはですね、実は法廷
でも、日本の法廷でもそれは判例がありまして、ほとんど勝訴されてます、実際
は。勿論、今答弁の中にあったようにですね、規定もされてますし、ただ現在の
制度ではこういった断り方をされるというのが一般的な対応になってしまってま
すんで、それは勿論ね、虐待が…虐待というかその…DVで離婚されたとかそうい
う子どもに危害を加えてそれが原因で別れたとか、そういうのであればそれは個
々の対応はあるでしょうけども、やはり実の子であることには間違いない、その
親としての責任を離婚してからでも全うしたいという方は沢山いらっしゃると思
います。そういう人たちの心を汲み取っていただいてですね、こういう例えば運
動会なんかでも、やっぱり自分の親が久しぶりに見に来てくれてたら子どもは喜
ぶでしょうし、そういったことがこれから子どもを育てていく中で大切なんじゃ
ないかなという風に思いますので、この共同親権に関してはですね、知事にも
ちょっと認識を問いたいと思いますので、共同親権に対する知事の認識を、認識
ということで、知事質問をしたいと考えておりますので宜しくお願いいたします。
共同親権に対する知事の認識、ということで、宜しいですか?
はい。
続きまして、児童虐待の予防の観点からもう一つの質問です。
(未受診妊婦と母子健康手帳の問題:略)
以上で質問を終わります。
はい、えーと、浦野議員に確認ですが、知事質問の内容なんですが、先ほどあり
ました「共同親権に対する知事の認識」1問ということで宜しいでしょうか?
はい。
それではただいまの質問項目は、委員長預かりとさせていただきます。