【2010.03.09】 馳浩議員の法務委員会での質問
【全文】
○滝委員長 次に、馳浩君。
○馳委員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。
きょうは、まず親権の問題の方から先に入りたいと思います。最近また報道が
相次いで心を痛めております虐待という観点からの親権の問題と、それから、離
婚をした場合、いわゆるハーグ条約に関する問題での親権の問題、まずこの二点
から入りたいと思います。
私は、新聞記事を見て大変なるほどなと思って、参考に質問をさせていただき
ます。二〇一〇年二月二十八日日曜日の北陸中日新聞の「虐待めぐる親権制限の
検討」この新聞記事を参考にいたします。
今現在、親権の一時・一部制限について研究会の報告がなされて、そして法制
審議会の方に諮問をされる、検討の段階である、こういうことを承っておりま
す。また、この件については、先般、予算委員会の分科会でも取り上げさせてい
ただきました。
そこで、この記事をちょっと読み上げさせていただきます。
親権制限が導入された場合、子・親と児童養護施設、里親の関係、家裁や児
童相談所の役割が変わってくるなど、大きな影響があるはずだ。親を納得させら
れる公正な判断を担保するために、子どもの親権制限には必ず家裁が関与すべき
ではないか。
このような提案が記事の中においても出されておりました。そして、続けてこう
あります。
仮に家裁や児童相談所の関与が広がれば、業務量も当然増える。議論が深ま
らない理由を、虐待防止に長年携わる弁護士は「関係機関、特に裁判所の積極的
に関与したくない姿勢がにじみ出ている」
この取材に応じた弁護士さんはこういうふうに申しておられました。
そこで、これは私たちなかなか、司法にかかわる人を含めて予算を拡充するこ
とは、これまた政治的な課題でもありますが、もし、業務量がふえるから困ると
か、こういうふうな言い方を、現場の家裁の方や弁護士さんや、かかる司法関係
者が言うとしたら、これは本末転倒ですね。むしろ、現状に合わせたあるべき姿
としての司法の体制整備をすべきではないか、私はこのように思うんですよ。
概略的な問いかけではありますが、大臣に、こういう心配が一部司法関係者か
らなされているという指摘に対して、どのような見解をお持ちですか。お聞きし
たいと思います。
○千葉国務大臣 基本的に、これから親権制度、そしてその制限などについて、
まだ、最終的な考え方がまとまった、法案になっているということではございま
せん。
そういう中で、裁判所がどのような関与をするのか、あるいはどういう形で虐
待防止のための何らかの役割を果たすのかということは、なかなか難しい問題で
はあろうかというふうに思っております。裁判所ができることというのは、ある
意味では限られているのかな。
ただ、全体として、やはり司法というのが十分にその機能を果たし、そして今
の現実の社会の課題についてきちっと対応する、そういう体制をつくるのは当然
のことだというふうに思っております。
そういう意味で、忙しくなるから困るのだというようなことは許されることで
はなくして、むしろ、私ども全体として、司法、裁判所などの体制の充実やある
いは財政のきちっとした措置、こういうものについて努力をしていかなければい
けない、こう私は考えております。
○馳委員 大臣のおっしゃるとおりだと私も思います。
この記事は、こういうふうな結びとなっております。
親権制限を加えた社会的養護制度について、裁判所など公の機関は考えを明確
にして目指すべき姿を描き、現時点での最善の施策は何かを、議論していくべき
ではないだろうか。
こういう提言という形で取り上げられておりますので、私は今の大臣の答弁はそ
れで十分だと思いますし、先般もお約束いただきましたが、この問題について
は、厚生労働省と連携をとりながら、親権の一時・一部制限をするとしても、公
的な関与がやはり一定程度必要である、こういう理念のもとに体制の整備に取り
組んでいただきたい、まずこのことを申し上げておきます。
もう一点、実は私、きょう厚労省の方を呼んでいないので、これは大臣には所
感としてお聞きしたいと思います。
親権には五種類あるということは先般も申し上げたとおりですが、財産管理権
の問題です。この記事の中でもこういうふうに取り上げられているんですね。
新年度実施予定の「子ども手当」に関連した課題もある。施設入所の子ども
らにも支給される方向だが、親権には子どもの財産管理権も含まれる。一方、研
究会が提言した施設長らの優先権限には財産管理権は含まれておらず、親が財産
管理権を盾に支給金の権利を要求してくる恐れが出てくるのだ。
これもやはり一つの課題だと思います。
子ども手当の是非等については、これは厚生労働委員会で話し合われることで
はありますが、親権を盾に、財産管理権があるのだといって、一時保護している
児童相談所であったり、また強制あるいは同意の入所をしておる乳児院とか児童
養護施設に、よこせと。これはやはりなかなか対処が難しいだろうなというふう
に思います、特に現場は。
したがって、親権の一部として財産管理権がある、そして、子ども手当のお金
は、直接子供に行くのではなく、やはり親権を持つ者に与えられるわけですね。
そうすると、財産権が優先するのか、それとも子供が今置かれている現状が優先
するのか、この判断というのはやはり大変難しいと思うんですよ。
私は、このことをまず指摘した上で、これは直接質問通告しておりませんでし
たが、こういう問題もあるということの認識をいただきたいし、このことにもや
はり法務省としても一定の見解を示した方がよいのじゃないかなと思いますが、
大臣、いかがでしょうか。
○千葉国務大臣 今この場での御質問でございますので確たることはなかなか申
し上げられませんけれども、子ども手当の支給の対象が、子供ではなくて親権者
を含む保護者という建前になっているというふうに承知をいたしております。
そういう際に、親権、財産管理権ということをもって、それを盾に、何かトラ
ブルが起きるということになっては、本当に、これは子供のためにという大きな
理念があるわけですので、大変混乱を来すというふうに思います。
そういう意味で、適切にこの支給がされるように、当然のことながら、厚生労
働省ともきちっとすり合わせをさせていただき、そごのないようにしてまいりた
いというふうに思います。
○馳委員 もとより私は子ども手当という政策については反対の立場ではありま
すが、これは、法案が通れば国会の意思として、行政は適切に業務を遂行しなけ
ればならない、そうなったときに現場が混乱することがあってはならない、改め
てこのことを指摘しておきたいと思います。
次に、今度は、二〇一〇年二月二十七日土曜日の朝日新聞の「ハーグ条約早期
加盟 首相が検討指示」この記事に基づいて指摘をし、説明を求めたいと思いま
す。
私もかねてからこの点は委員会でも指摘をしてまいりましたが、いよいよ鳩山
総理がハーグ条約について早期加盟の検討を指示した、こうあります。そこで、
この中で、なるほどなという心配事項がまずあります。一点目です。
加盟への道のりは平坦ではない。加盟した場合は、外国からの要請を受けて子
の所在を確認し、子を元の居住国に返還するなど、条約上の義務を果たさなけれ
ばいけないが、どの省庁がどのような法に基づいて何を行うのか、検討はこれか
らだ。中心的な役割を果たす機関として条約が設置を求める「中央当局」につい
ても、外務省は「加盟国の多くがそうしている」として法務省を想定している
が、法務省は「各国との窓口の役割なら、外務省が適当」との立場をとる。
こういう指摘になっておりまして、ここはやはり岡田外務大臣と千葉法相で話し
合いをして、どこがこのハーグ条約を締結するために中心的な役割を果たすのか
ということを決めた上で、その上で当然関係する法令も準備しておかなければい
けない、このように私は思います。
こういう指摘が朝日新聞によってなされておりますが、さあ、外務省でしょう
か、法務省でしょうか。検討の途中ではありましょうが、現在における見解を
ちょっとお示しいただきたいと思います。
最初に西村さんにお伺いした方がいいかな。では、西村さん、お願いします。
○西村大臣政務官 御質問いただいてありがとうございます。
ハーグ条約でございますが、委員も御存じのように、国際結婚の破綻に伴う子
供の親権が昨今大変大きな問題となっておりまして、外務大臣に対しても、各国
政府から何度となく、この問題の早期解決をということで申し入れ等がなされて
いるところでございます。
今、国際結婚の件数はどんどんふえておりますので、やはり放置するわけには
いかない事態に立ち至っているというふうに考えまして、今、法務省とも協議を
いたしまして、この条約について検討を行っているところでありますけれども、
中央当局については、まさに今後の議論ということになってくるのではないかと
いうふうに考えております。
この条約のプラクティスも各国によってそれぞれでございますし、また、その
ことによって守られるべきはやはり子供の福祉、子供の最善の利益であるという
ふうに考えますので、それがいかにして守られるのかという観点から検討をして
いきたいというふうに考えております。
○馳委員 千葉大臣、いかがでしょうか。
○千葉国務大臣 今、外務省西村政務官からも御答弁がございましたけれども、
総理も今大変意欲的にこの問題を考えておられるということでございまして、外
務省そして法務省、あるいは、これは多分関係省庁も大変多岐にわたることにな
ろうかというふうに思います、そういう間で、できるだけ、論点や、あるいは締
結の方向について議論をこれから進めていこうということでございます。
中央当局につきましても、この条約がどのようなことをその中央当局に求めて
いるのか、そういうことももう少しきちっと精査をし、各国の状況や、あるい
は、それにふさわしいのがどういう部署なのか、こういうことも考えつつ、しか
しながら法務省としても積極的に、この協議を連携して進めてまいりたいという
ふうに考えております。
○馳委員 そこで、二つお尋ねしたいのは、これはいつまでにやりますか。やは
りこれは、ゴールを決めておいて、逆算をして、今ほど申し上げたような、中央
当局をどこにするか、関係法令をどうまとめるか、こういう作業をしていくスケ
ジュール観というのは必要だと思うんですね。私は、今多分お答えしづらいと思
いますので、基本的なこういう問題は、やはり一年ぐらいかけて検討した上で、
来年の通常国会には関係法令も出し、また、ハーグ条約を締結するという姿勢を
示していく、こういう政府としての大きな方針は必要だと思っております。
加えて、今の問題に一歩私なりに踏み込むならば、これはやはり外務省が中央
当局になった方がよいというふうな指摘を私はしたいと思います。西村さんも今
おっしゃったように、子供の最善の利益ということを考えるべきなんですよ。こ
れはまさしく、国際離婚ということになってくると、子供にとって親は親であ
る、その子供の置かれている現状を、どう法的に、外交的に対応していくか。や
はり交渉する前面に立つのは、これは外務省であるべきだと私は思います。と同
時に、今から共同親権の話を指摘したいと思いますけれども、こういう国内法の
問題については法務省が前面に立って責任を持ちますよ、こういう連携が必要だ
なという、これは私の私見でありますが、まず申し上げておきたいと思います。
そこで、共同親権導入へ向けての問題を、また記事の方から指摘したいと思いま
す。
日本の加盟は、一部の国際結婚カップルだけにかかわる問題ではない。条約
は、子と別居する親の面会権も保護しているため、日本人夫婦で離婚後、子と会
えなくなった側や在日外国人らが波及効果に期待を寄せているのだ。
加盟国の多くは、一九八〇年代以降、離婚後も両方の親が親権を持つ「共同
親権」に移行し、子どもが両親の家を行き来するのが当たり前だ。しかし、日本
は離婚後は片方の親が親権を持つ「単独親権」制で、調停などで母親が親権を取
るケースが八割を超える「母子関係優先社会」。子との面接交渉の権利が民法に
定められていないこともあり、離婚後、子どもと交流を断たれる父親は少なくな
い。
「離婚後も子は両方の親と交流するべきだというのが世界の潮流。ハーグ条
約に加盟しても、日本の裁判所がこれに反した判決を出せば、条約を順守してい
ないことになる」。
こういう指摘がありまして、棚瀬孝雄中央大法科大学院の教授はこのように警告
をしております。
「別居親と子の面会交流を原則として認めるなど、国際水準に合った形に国内
法を整備する必要がある」
この問題は、むしろ私よりも千葉大臣の方がよく御存じであります。私も、共同
親権については認めていくべき時代にある、このように思っております。
そこで、これはもし答えられる方がいたら、単独親権、現在の民法において、
なぜ日本はこの単独親権を後生大事に守り続けているのか、私はこういうちょっ
と意地悪な指摘をさせていただきたいと思います。
なぜならば、国際結婚の数も、恐らく昭和三十年代のころと比べて現代ではけ
た違いにふえているはずでありますし、当然国際離婚もふえているでありましょ
う。私がいただいた資料で、離婚をした家庭の子供、十四万件の中で、二十四万
人の子供が親が離婚している。そして、単独親権である。原則、子供に責任はな
い。子供が悪いから離婚するんだという親はちょっといないでしょう、あり得な
いですね。そうすると、子供からすれば、お父さんはお父さん、お母さんはお母
さん。しかしながら、日本の現在の民法では単独親権を優先しているんですね。
まず、もしおわかりになれば、なぜ我が国は単独親権でなければいけないの
か、この民法の原理原則的な、立法過程において、なぜ単独親権じゃなければい
けないのかということについて改めてお示しをいただきたいと思いますが、いか
がでしょうか。
〔委員長退席、樋高委員長代理着席〕
○千葉国務大臣 なぜ単独親権でなければいけないのか、私も、ちょっと今、確
定的な、あるいは正確なことを申し上げることはなかなかできませんけれども、
多分これまで、離婚をしたさまざまなトラブルが逆に子供に悪影響を及ぼしては
いけないのではないか、そういう意味で、監護をする親を決めて、なるべく子供
をそういうトラブルや、あるいはそういうものから防御しよう、こういうのが、
どちらかといえば、これまで単独の親権を維持してきた背景にはあるのかなとい
う気がいたしております。
ちょっとその程度で。今御質問いただきましたので。
○馳委員 私は、この背景には、我が国の伝統的な家族観というものがあるんだ
ろうなと思うんですよ。だから、記事にもありますとおり、母子関係優先社会。
つまり、離婚した後、恐らく五割は超えているでしょう、ほとんどはお母さんが
子供を引き取るわけですね。そして、この議論は、私は大臣もよく御存じだと思
いますが、なぜ共同親権を求める方が多いのかという背景には、お母さんが、離
婚をしたお父さんに会わせないわけですね。こうやって吹き込むわけですよ。お
父さんは、離婚をしても養育費も払わない、DV、暴力、あるいは女性関係と
か、とんでもないのよ、あんなお父さんみたいになっちゃいけませんなんて。な
かなかやはり、協議離婚であったとしても調停離婚であったとしても、離婚後も
お父さんと会えるようにしているようになっていたとしても、こうなるわけです
よ。子供が会いたいと言わないから会わせません。この理由は随分多いんですね。
したがって、私は最初に申し上げたように、子供が言っているからと、子供に
責任を負わせるのではなくて、そもそも子の最善の利益を考えた上で共同親権と
いう制度にし、そして、第三者機関、家庭裁判所が入るべきなのか、ADRのよ
うな組織がかかわるのがいいのか、これはまた議論があるところかもしれません
が、第三者機関的な部分で判定をし、そこにおいて会わせる機会を設ける、こう
いうふうにしていった方が子の最善の利益にかなうんじゃないかな、私はこうい
うふうに思っているんですよ。
そこで、大臣、共同親権の必要性について認識をしますか。それとも、いやい
や、単独親権のままでいいですよ、馳さん、そんなこと言わないで、共同親権を
考える時期ではありませんよと思いますか。大臣の見解をお伺いしたいと思いま
す。
〔樋高委員長代理退席、委員長着席〕
○千葉国務大臣 御質問いただきましてありがとうございます。
ちょっと先ほどの御質問にかかわって、母子中心のというお話がございまし
た。ただ、私のつたないいろいろなこれまでの活動の経験からいいますと、一定
のところまでは、父親が親権を持つというケースがやはり多かったのではないか
というふうに思います。
それは、やはり経済的に、父親の方が経済的な力がある、そちらが親権を持つ
方が子供のためにいいのではないか、そういう時代といいますか経過もあったと
思いますので、もともと母子ということを中心にこの親権というのが考えられて
きたかどうかというのは、いささか、ちょっとどうなのかなということはござい
ますけれども。
それはさておいて、私は、子供の最善の利益ということを考えたときには、ど
ちらの親も子供の親として接触をすることができる、そういうことがやはり大事
だというふうに思っております。今も、でき得る限り面接交渉、こういう場をつ
くる、法律に明文はございませんけれども、離婚に当たってそういうことを取り
決めるということも随分行われておりますし、これから、例えば面接交渉の権利
をきちっと法文に盛り込んでそれを実行していくということも一つの大きな流れ
かというふうに思っております。
それと、さらに共同親権という形まで進めていくか、ここはもうちょっと議論
をしていかなければいけない、いろいろな影響もどうなっていくのかということ
も含めて議論をしていく必要があるかなというふうに思っておりますけれども、
いずれにしても、やはり、コーディネートをする、そういう環境があり、そして
親子がいろいろな形で面接交流を続けることができる、こういうことは、私は方
向としては大賛成でございます。
○馳委員 またちょっと意地悪な質問をすると、この共同親権ということを、民
法を改正して位置づけた方がよいと思いますか。
今現在でも、単独親権ということについても民法の中には多分書いてないはず
ですよね。書いてありましたか。単独親権と書いてありましたか。(千葉国務大
臣「離婚の際に定めること」と呼ぶ)定めることとありますから、一方を定める
こととありますから、書いてありますね。
では、やはり、共同親権についての概念や、また文言を入れるとすれば、これ
は民法改正ということになりますから大きな議論が必要になる、私はこのような
ことを今大臣がおっしゃったんだというふうに認識します。
それの前におっしゃった、子との面接交渉に関するかかわりは、これは民法に
盛り込むような話かな。そうすると、やはり民法の枠のちょっと外に置いて、こ
れはむしろ議員立法になじむような案件なのではないかなと思っておりますし、
私たち議員の中でも勉強会をしながら、先ほど申した棚瀬先生などから、こうい
う案はどうだろうかという提案も既にいただいております。
大臣は、単独親権、これを、共同親権を盛り込むかどうか、民法にかかわる大
きな改善点である、そういう認識を持っておられると思いますが、民法の中で共
同親権を位置づけた方がよいのかという議論をすべきか、そして、面接交渉がで
きるようにということは民法の枠の外に置いて、これはそもそも、国民の代表で
ある国会議員が意見を集約して議員立法としてやった方がいいのではないかと
思っているのか、ちょっとこの辺の考え方をお聞きしたいと思います。
○千葉国務大臣 この法整備につきましては、これは当然、国会で、議員の皆さ
んの御議論の中で一定の方向をつくっていただくということも決して否定すべき
ものではないというふうに思っております。ただ、例えば共同親権というような
形で民法を大きく改正するということになりますと、これは政府が責任を持って
それに当たるということも大事だろうというふうに思いますので、これはさまざ
まな対応の仕方があるだろうというふうに思います。
それから、面接交渉についても、これは法律の問題ではないというふうに、別
な形で運用していくということも必要でありましょうし、あるいは、今明文はご
ざいませんけれども、離婚の際の、例えば財産を分与するとか、そういうものと
同じように、面接交流についてきちっと離婚の際には取り決めなさいよ、こうい
うような条文を盛り込むということもあり得るのだろうというふうに思います。
そういう意味では、これは形式とかそういうことに決してこだわることではな
くて、まずは、子供の最善の権利、こういうものを保障するためにはいろいろな
形で議論が進んでいくということが、そしてみんなが納得をしていくということ
が求められるのだろうというふうに私は思います。
○馳委員 私は、今大臣は重要な示唆を与えていただいたと思います。共同親権
について、民法改正を視野に入れた議論が必要なのではないかということではな
いかと思います。それでよろしいですか。
○千葉国務大臣 もう少し正確に申しますと、共同親権ということをこれから方
向を定めるのであるとすれば、やはり民法の大きな改正といいましょうか、そう
いう形で行うことが筋ではないだろうか、こういうことを申し上げました。
○馳委員 今の段階ですから多くは語れないのかなと思いますが、とすれば、共
同親権のあり方について、まさしく、法務省、政務三役のもとで研究会等を行っ
た上で、法制審議会に諮問すべき、それにふさわしい問題点であると私は思って
おります。そのように理解してよろしいですか。
○千葉国務大臣 それは当然、議論をさせていただいて、やはり必要だなという
方向になれば、法制審議会なり、また国会などにも皆さんの御意見をいただかな
ければいけないというふうに思っております。
ただ、今御議論をさせていただいている民法の改正案という中でも、面接交渉
については、離婚の原因、それを明確にすると同時に、面接交渉ということも法
文上もう少しきちっと明確にしていこうということも検討させていただいており
ますので、面接交渉、あるいはその先に共同親権という議論もまた進んでくるの
かなというふうに思っておりますが、まだそこまでの段階に至っていないという
のが実情でございます。
○馳委員 大変前向きな答弁をいただいたと思います。面接交渉、私は本当にこ
れは必要だと思っています。改めてこのことを強調して、では次の質問に移らせ
ていただきます。
(以降、オウム真理教(現アーレフ)に関する質問と、裁判員制度に関する質問
が続く)
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※衆議院法務委員会議事録第174回 第3号 平成22年3月9日(火曜日)より