【2013.11.11】 平成25年11月11日 「子どもの連れ去り・引き離し問題に関する再質問主意書」
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質問第五十号
子どもの連れ去り・引き離し問題に関する再質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十五年十一月十一日
浜 田 和 幸
参議院議長 山 崎 正 昭 殿
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子どもの連れ去り・引き離し問題に関する再質問主意書
先般提出した「子どもの連れ去り・引き離し問題に関する質問主意書」(第百八十五回国会質問第一八号)(以下「質問主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質一八五第一八号)を受けて、以下再度質問する。
一 裁判官による、法律に何ら根拠のない「継続性の原則」の適用により、子との引き離しに遭った親が自殺をしたり、逮捕される状況が続いている。今年の十月だけで、子との引き離しに遭った親が二人自殺したと聞いている。こうした事実を政府は把握しているか。
また、引き離しに遭っている子が、当該子の身柄を確保した親ないし同居する者らにより虐待を受け死に至る事件が過去に何件も起きていると報道されているが、こうした事実を政府は把握しているか。
二 質問主意書の質問二に対し、答弁書では、「お尋ねの件数については、いずれも、政府として把握しておらず、お答えすることは困難である」とあるが、政府に把握しようとの意思はないのか、明らかにされたい。
三 前記について、把握しようとの意思がないというのであれば、何ら罪もない親子が死に追い込まれているにもかかわらず、なぜ、政府として把握しようともしないのか、理由を示されたい。
四 質問主意書の質問一及び二に関して、個々の件について、件数すら把握していないにも関わらず、答弁書の「三及び四について」において、「個別具体的な事案に応じ」異なる対応をしている旨答弁しているのはなぜか。個別の件について「総合的に考慮しているものと承知している」とあるが、どのようにして、「承知」したのか。
五 答弁書の「三及び四について」に関し、本来、「いかなる事情をどの程度考慮すれば子の利益を最も優先して考慮したことになるのかについては、個別具体的な事案によって異なるものであり、一概に論ずることはできない」はずであるにもかかわらず、個別具体的な要素を無視し、子の身柄を確保している親を「一概に」監護者・親権者とする審判・裁判が多いとの批判が数多く生じていることから質問主意書を提出した。それに対する答弁書の内容は非常に不誠実であり、自殺に追い込まれた親の遺族の心情を逆なでするような答弁だと思うが、政府の見解如何。
六 質問主意書の質問四に対し、答弁書では、「子を監護してきた者が誰か、現在の監護者が監護を開始するに至った経緯、父母の子に対する愛情や監護に対する熱意、いわゆる面会交流に対する姿勢、養育能力や居住環境、子の年齢、子の心情や意向」を監護者決定にあたっての判断要素として具体的に挙げており、これらについて「子の利益を最も優先して考慮する観点から」考慮していると答弁しているが、具体的に挙げた七つの判断要素と「子の利益」がどのように関係があると「承知」しているのか、それぞれ発達心理学などの科学的根拠及び民法第七百六十六条の改正趣旨などの法的根拠を示し、具体的かつ誠実に政府の見解を示されたい。
特に、「いわゆる面会交流に対する姿勢」が非常に消極的であるにもかかわらず「子を監護してきた者」を監護者と決定する裁判所の運用が大半と聞いているが、そのような裁判所の判断が「子の利益」にかなっていると正当化される場合はどのような場合と「承知」しているのか、科学的根拠及び法的根拠に基づき、具体的かつ誠実に政府の見解を示されたい。また、「父母の子に対する愛情や監護に対する熱意」、「子の心情や意向」をどのようにして裁判所が判断していると政府は「承知」しているのか、示されたい。
七 質問主意書の質問五に対し、答弁書では、「民法第七百六十六条の改正趣旨を説明したリーフレットを作成し、(中略)改正趣旨の周知徹底に努めてきた」としているが、それによって具体的に裁判官の運用が変化したとの話は一切聞かない。例えば、質問主意書で挙げた吉田健司裁判官の審判書を見れば、従来どおりの「継続性の原則」を機械的に適用していることは明らかである。周知はしたものの、裁判官が一切従うことなく、引き続き立法趣旨を完全に無視した法の解釈、適用、実務の運用を行っていても、政府は「周知徹底」したのであるから自ら果たすべきことは十分に尽くしており、多くの親子が死に追い込まれている現状に何ら責任を負うことはないと考えているのか、政府の見解を示されたい。
八 質問主意書の質問六に対して、答弁書では、「個別具体的な事案において、法の趣旨にのっとり適切に事実認定をしているものと承知している」としているが、質問主意書で挙げた吉田健司裁判官の審判書をみれば、「法の趣旨にのっとらず不適切な事実認定をしている」事例が少なくとも一件はあることは明らかである。政府は、どのようにして「一般に、(中略)法の趣旨にのっとり適切に事実認定しているもの」と「承知」したのか、その答弁の根拠を示されたい。
右質問する。
平成25年11月19日
「子どもの連れ去り・引き離し問題に関する再質問主意書_同政府答弁書」
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答弁書第五十号
内閣参質一八五第五十号
平成二十五年十一月十九日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三
参議院議長 山 崎 正 昭 殿
参議院議員浜田和幸君提出子どもの連れ去り・引き離し問題に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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参議院議員浜田和幸君提出子どもの連れ去り・引き離し問題に関する再質問に対する答弁書
一について
お尋ねの事実については、いずれも、政府として把握していない。
二及び三について
政府としては、お尋ねの件数を把握する必要はないと考えている。
四から八までについて
先の答弁書(平成二十五年十月二十九日内閣参質一八五第十八号)三及び四について並びに六についてでお答えした内容は、子の監護をすべき者を定めるに当たっての裁判所の実務運用として承知していることを述べたものである。
また、政府としては、個別具体的な事件における裁判所の判断に関するお尋ねについては、いずれも答弁を差し控えたい。