女性だって引き離される(2)「父親が子を連れ去って監護実績を積んだら…」 大田未希(仮名)
7歳だった長男は、父親に連れ去られました。1週間後に調停を申し立て、4回の調停を経て訴訟となり、2年半経った今、親権・監護権共に父親で、私が全て屈した形の和解で終わろうとしています。
調停当初から、「母子家庭の様な生活で育った子だから、精神的に心配だ」「一生の心の傷になるから」と、強くお願いしていた面会さえ、和解案にはありませんでした。何一つ私の要求を満たそうとしない裁判官には、「両親との関わりは重要だ」「子の福祉の為だ」と話しても、「考え方の違いだ」と言われ、裁判所は子との面会ができるように動いて頂けないのかと訴えても「子の意志の尊重」と言います。私が当初から言っていたこれらの言葉は無視・無効で、現状監護している父親の意見は有効とされ、だから見込めない子どもとの面会は和解案に入らないと言われましたが、私には裁判官が法律を誤って運用しているように思えてなりません。
父親は「早く決着を」と言いながら、調停第1回目をドタキャン、2回目は大幅な遅刻で弁護士と現れ、話し合う気は全くなく、訴訟では嘘ばかりの具体的な内容がない主張をし、書面や証拠等提出物の遅れも多く、それでも何のお咎めもありませんでした。そして、引き離している間にも、学校や周囲に私の子への虐待等、嘘を触れ回り、母親を拒絶する様、学校の協力を得て、子どもとの関係、状況は悪化するばかり。面会交渉を申し立てると、子どもの様子が一変して、私を見ると走って逃げ出す様になりました。
調停時からお願いしていた調査官調査は、調停当初から調査官が同席していたにもかかわらず、父親の意見を優先して開始されませんでした。2年経ってようやく行われた調査は、時すでに遅く、本当に表面的な子の様子しか見えない、現状を認めるものにしか過ぎませんでした。学校の調査結果についても、実態を全く反映していない内容で、子どもが母親に対しての拒否的な発言があるなど、明らかに事実と異なることまで記述されていました。
調査報告書には、結論として、監護状況に大きな差はないとしながらも・・・子は父親のもとで2年以上生活をし、高い評価を得るほど適応している。『了解を十分に得ずに子を連れて出た結果であるとしても』決して軽視できるものではない。父親のもとでの家庭生活の充実と現時点での母親への嫌悪感の存在は重要なことと思われ、十分に考慮されるべき・・・とありました。
調査官に対して、寛容性が高いことを強く主張し、理解されたと思っていましたが、結果的には親権は私ではなく、父親と決定されました。別居までの7年間の子の生活や監護状況は一切考慮せず、寛容性の比較もなく、引き離しの2年半の空白を覆すような大きな問題がなければ、現状が優先されて連れ去った親に親権がいくんだと身をもって体験しました。その判断が、今後の子の成長にとって大きな間違いであったら、誰が責任を取るのでしょうか。
調査官は「争いは早く止めるべき」と発言し、裁判官も「今まで訴訟過程にあったから」と面会出来なかった理由にし、今後は「当事者間で話し合え」と「現実的に面会が行えるかは子の意思次第」と平然と言いますが、それが出来れば、この2年半の経過はありませんし、今までの訴訟内容・様子を考えれば、難しいことは解り切っているのです。
様々な問題が多かった婚姻生活で、様々な精神的苦痛を受け、破綻理由は相手にあるとした私の主張は、私が現に具体的な法的手段をとらなかったからと認められませんでした。逆に、子を連れ去り別居するという強硬手段をとった父親には、精神的苦痛が認められました。私に対して精神的苦痛を与えていた者でも、子どもと生活し世話をしていれば「善人」となってしまうのでしょうか。
両者の食い違う主張に、裁判所は子を連れ出した経緯を重要視し、子どもの連れ去りが不当であることは明らかにされましたが、それでも親権を父親に決定したということは、連れ去りを肯定したのと同じです。調査報告書で判断したと言う裁判官でしたが、その報告書は誤った記述もありましたし、そもそも引き離し後2年経ってからの調査でなにが分かるというのでしょうか。
裁判は文章が最重要視されるから、と説明しながら、通り一遍の調査で誤った内容の報告書を作成した調査官。誤った内容について指摘すると、まともに取り合うこともなく、判決にしても変わらないと断言した裁判官。本当に許せない想いです。
夫婦だけでは調整がつかず、困っているから、子の福祉を最優先に考えてくれる救世主だと信じて裁判所の門をくぐるのです。その裁判所が、連れ去り行為を非難するどころか、連れ去られた親の持つ権利を平等に扱わず、「現状追認」という不当な結論を導いているとは。本当に理不尽な惨い現実だと思います。
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