【2009.02.17】 『第2回国会勉強会』レポート
離婚後の共同親権を考える勉強会、議員会館で開かれる
2月17日、親子ネット主催の離婚後の共同親権を考える勉強会が、衆議院第二議員会館第一会議室で開催された。
自民・公明・民主の国会議員が15名出席したほか、学識経験者、さらには大使館職員など計70人が参加した。
この勉強会は、下村博文衆議院議員(自民党)の協力を得て1月20日に開催した「離婚・別居によって子どもに会えなくなった親子についての勉強会」の2回目。ご自身の友人も当事者である下村議員は、第1回目の講師の棚瀬一代さんの著作『離婚と子ども』を全国会議員に配布して、議連の結成にも意欲を見せている。ちなみに親子ネットのメンバーがこの日の午前中に、衆議院の議員会館を、勉強会後には参議院の議員会館の議員事務所を一軒一軒訪ねて、この本を手渡した。
勉強会では冒頭、民主党の千葉景子議員も発言し問題解決に協力を申し出た。
当事者からは望月蓮(仮名)さんが発言。
望月さんは、有責性がないにもかかわらず、子どもを連れ去られた。交わした面会交流の約束も結局、相手方が再婚し、子どもが勝手に養子に入れられて以後反故にされ、子どもとの交流を絶たれている。
今回の勉強会では、主に親による子の連れ去りをテーマとして取り上げたが、連れ去りが面会拒否を招き、面会拒否が連れ去りを助長する現在のルール、子どもを「先に取った者勝ち」という実態がよくわかる内容だった。続いて発言した鵜飼恵子さんは、イラン人の夫を信じて子どもを託したがゆえに、イランに子どもを連れ去られた。
「法制化されても私の場合は状況が改善されるわけではない。でも、日本が好きなのに、こんな状態では……」と運動を続ける心境を語った。
講演では、同志社大学法科大学院のコリン・ジョーンズさんが、「国際社会から見た日本の現状―親による子の連れ去りと面会拒否」と題して、現在の日本の制度のひどさをさまざまな観点から指摘した。国際的な子の連れ去りの問題で、子の返還要請をして一度も応じてくれないのは日本だけと指摘したジョーンズさんは、「特に私は国際社会からという言い方はあまり好きではない。この問題は日本国内の問題として考えたい」とも発言した。
日本の裁判所は裁量の幅が大きすぎ、しかも強制力もない、したがって、日本の裁判所は面会を否定したほうが約束違反の責任を問われず、いろんな面で「楽」だから、和解を勧めたり、すぐに面会を拒否したがるという解説に、多くの当事者が肯いていた。
会場からは、いつ法制化が実現するのかという質問もあり、当事者からの熱い期待が議員に向けられた。
なお、この日までに集まった国会請願署名は4500筆を超えた。現在、親子ネットでは多数の議員に紹介議員になっていただくように働きかけ、順次衆参両議会に署名を提出している。
次回の勉強会は3月17日(火)、同じく衆議院第二議員会館第一会議室で、午後1時から開催予定(宗像)