2015年06月24日 朝日新聞 『国際結婚破綻後もTV電話で親子面会 外務省新システム』
国際結婚破綻後もTV電話で親子面会 外務省新システム
結婚が破綻(はたん)したため子どもが日本、親が外国に別れて暮らす場合、インターネットを使ったテレビ電話で面会交流できるシステムを今月、外務省が導入した。子連れで日本に帰国した母親が、夫婦間暴力(DV)の被害者だったような場合に対応したもの。第三者がやりとりを監視することで、子どもにとっても安心感がある仕組みだ。
国際離婚のトラブル増加を背景に、日本政府は2014年1月に「ハーグ条約」に署名し、同年4月に発効した。片方の親が子を国外に連れ出した場合、もう片方の親は、元の居住国に子を返すための援助のほか、子と面会交流をするための援助を加盟国に求めることができる。
日本政府への面会交流の援助申請は14年度、返還の援助申請44件を上回る69件あった。だが、子と住んでいる親が元配偶者と会わせるのを嫌がり、実現していないケースも多い。DV被害者からの相談も数件あったという。
システムは、両親が合意すれば自宅のパソコンやスマートフォンで利用可能。第三者が通信をモニタリングし、面会する親が子に不適切な発言をした場合は回線を切ることができるため、同居する親に対する悪口を子が聞く心配も少なくなる。モニタリングは家庭問題情報センター(FPIC)、日本国際社会事業団(ISSJ)、NPO法人「岡山家族支援センターみらい」の3カ所に委託した。
外務省の担当者は「こうした仕組みは他国にも例がないのではないか。今までより抵抗感なく、面会交流につなげられる」と期待する。(杉原里美)。