2015年03月25日 読売新聞 『ハーグ条約、子供返還など海外調停機関と連携へ』
ハーグ条約、子供返還など海外調停機関と連携へ
国際結婚の破綻に関するハーグ条約を巡り、外務省は、外国の親から申し立てがあった子供の返還や面会について、日本と外国の調停機関が連携して協議する仕組みの導入を決めた。
両親それぞれの国の弁護士や専門家が協力して調停案を取りまとめることで、円満な解決を促す狙いがある。連携先はドイツや英国、米国、オーストラリアなどを想定しており、来年4月からの本格実施を目指す。
昨年4月に国内で発効したハーグ条約では、子を日本に連れ去られた外国の親は、〈1〉東京か大阪の家裁に対する返還命令の申し立て〈2〉日本の調停機関が話し合いを仲介する「裁判外紛争解決手続き(ADR)」の利用――などを選択できる。ADRは東京、大阪、沖縄の弁護士会など5機関が実施しており、弁護士や学者ら2人の「あっせん人」が双方から事情を聞き取って解決案を提示する。利用は4回まで無料だ。
ただ、外国の親から外務省に申請があった「返還」と「面会交流の援助」計80件のうち、ADRの選択はわずか12件。日本の調停機関に対し、外国人の側に「言葉の壁があって主張が通らないのでは」「文化や制度の違いを理解できるのか」といった不安があるためとみられる。
このため、外務省は外国の調停機関との連携を計画。外国の親から申請を受けた同省が、その国の調停機関を紹介した上で、インターネットを通じたテレビ電話「スカイプ」を使い、外国側と日本側それぞれの親とあっせん人が参加して協議することを想定している。ドイツや英国も他国との間で同様の仕組みを導入し、成果を上げているという。