2014年04月02日 毎日新聞 『ハーグ条約:発効初日から我が子と面会求める動き』
ハーグ条約:発効初日から我が子と面会求める動き
国際結婚が破綻して子を外国に連れ去られた場合、残された親が子の返還や面会を求める手続きを定めた「ハーグ条約」が1日、日本で発効した。「息子たちが元気かどうかだけでも知りたい」。2009年6月に8歳と6歳の息子をロシア人の元妻に連れ去られた東京都内の自営業の男性(48)は、初日に書類が届くよう3月31日に弁護士を通じて外務省に面会交流援助を申請、海外でも面会を求める動きが出始めた。
男性は39歳の時に日本で結婚、2児をもうけたが徐々に子供の教育方針を巡って衝突が絶えなくなった。離婚調停を申し立てると、元妻は子供を連れてロシアに帰国。一時はインターネット電話で会話していたが、再び離婚の話し合いを始めると交流は途絶えた。
離婚裁判を申し立てた結果、今年2月に自身に親権が認められる形で離婚が成立した。条約発効前の連れ去りのため返還申請はできないが、男性は「面会交流の手続きがあると知り希望が見えた。会えるか不安だが、安否が分かれば」と話す。
外国在住の親が日本に住む子供への面会交流援助を申請した場合、外務省は援助の可否を審査した後、連絡を仲介したり、仲裁機関を紹介したりする。援助が決定すれば、外国の親は子供の居場所が分からなくても家裁に面会交流を求める審判や調停を起こせる。
米国では日本に子供を連れ去られたと主張する親ら約30人が3月31日、米国務省と在米日本大使館を訪れ、子供との面会などを求めた。03年から娘と会えずにいるポール・トランドさん(46)は「日本の裁判所はこれまで、我々と子供との接触を保証しないという結論を出してきた。同様の結果になることを恐れている」と語り、日本政府のさらなる取り組みを要求した。
日本に子供を連れ帰ってきた親を支援するため、東京の3弁護士会は弁護士を紹介する共通ダイヤル(0570・783・563)を設置した。磯谷(いそがえ)文明弁護士(東京弁護士会)は「返還申し立てや面会交流の請求を受けた親が駆け込むのは最寄りの弁護士会。親たちの不安に応えたい」と話す。【反橋希美、ワシントン西田進一郎】
2014年04月02日 00時00分