2013年01月06日 読売新聞 『家裁の裁判官を増員へ…最高裁、後見や離婚増で』
家裁の裁判官を増員へ…最高裁、後見や離婚増で
判断力の衰えた高齢者の後見や離婚など家庭に関する審判や調停(家事事件)の急増を受け、最高裁は4月から、家庭裁判所の裁判官を20~30人規模で増やす方針を固めた。
1日には家事事件の手続きを利用しやすくした新たな法律が施行され、家裁への申し立てがさらに増えることも予想される。少子高齢化社会の到来を踏まえ、態勢の強化を図る。
司法制度改革で法曹人口は拡大し、裁判官も2002年から10年で約600人増えたが、多くは裁判員裁判が始まった刑事、知財など専門分野が細分化された民事に回り、家裁への重点配置はなかった。
背景にあるのは、家事事件の増加だ。判断力の衰えた高齢者らの財産管理などを行う後見人の選任や、離婚後の親子の面会交流や子どもの養育費を巡る争いなど、11年に家裁に申し立てられた審判や調停は77万4147件に上り、10年前の1・3倍に増えた。
特に成年後見制度では、後見人の選任や監督処分などの件数が、11年は11万4436件と、制度が導入された00年の9・1倍に膨らんだ。
しかも、後見人が高齢者らの資産を着服する事件も多発。最高裁によると、昨年3月までの1年10か月間で被害は550件、被害総額は54億円を超えた。昨年2月には、広島で起きた後見人による横領事件に絡み、家裁支部の監督が不十分だったとして国に約200万円の賠償命令が出ており、「家裁がもっと積極的に後見人を監督すべきだ」との指摘もある。
1日には、家事事件の手続きの基本的な事項を整備し、制度を拡充して利用しやすくした「家事事件手続法」が施行された。審判や調停が民事訴訟に準じて厳格に進められるようになり、裁判官の関与が今まで以上に求められる。
(2013年1月6日17時23分 読売新聞)