2012年06月15日 毎日新聞 『国際離婚:日本人女性の親権認めず 大阪高裁、逆転判断』
国際離婚:日本人女性の親権認めず 大阪高裁、逆転判断
米国に住むニカラグア国籍の男性との国際結婚で生まれた9歳の女児の親権などを、日本人女性が求めていた審判で、大阪高裁が女性の申し立てを却下したことが分かった。女性側は決定を不服とし、現在は最高裁が審理を続けている。この問題を巡り、女性は女児を無断で日本に連れ帰ったとして米国で親権妨害罪に問われた。
女性は02年2月に結婚し、女児を産んで米国で暮らしたが、08年2月に女児と帰国。09年6月に米国で離婚が成立したが、元夫の単独親権が認められた。
女性から家事審判を申し立てられた神戸家裁伊丹支部は11年3月、女性への親権変更を認める一方、元夫と子どもの米国での面会を認めた。しかし翌月、女性は永住権更新のため米国に入国しようとして逮捕され、女児を元夫に引き渡す司法取引に応じて釈放された。
高裁は、父母両方と交流する機会を女児に確保すべきなのに、女性が女児と元夫との交流に非協力的な点を重視。既に女児が渡米したことも踏まえ、女性に親権を認めるべき理由がないとしている。
日本は、国際結婚破綻後の子どもの法的扱いを定めた「ハーグ条約」を締結する方針を示している。条約は、子どもを連れ出された親が返還を申し立てた場合、相手方の国の政府は原則として元の国に返すよう義務づけている。
女性側代理人の弁護士は「決定は不満だ。まだ希望はあると思っている」と話した。一方、元夫は「ハーグ条約に日本が加盟していれば、子どもはすぐに連れ戻され、女性も身柄を拘束されることはなかった」と話した。【渋江千春】