2011年11月23日 日本経済新聞 『長女「連れ去り」邦人女性、米で司法取引が成立』
長女「連れ去り」邦人女性、米で司法取引が成立
【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)=共同】米国在住のニカラグア国籍の元夫(39)に無断で米国から長女(9)を日本へ連れ去ったとして、親権妨害罪などに問われた兵庫県宝塚市の日本人女性(43)の公判が22日、米ウィスコンシン州の裁判所で開かれ、女性が長女を米国の元夫の元に戻すことを条件に、重い刑を科さない司法取引が正式に成立した。
法廷で裁判官から「全て理解しましたか」と問われた女性は、英語で「はい」と答えた。
女性や元夫の弁護士によると、親権妨害罪は有罪になれば禁錮10年以上の重罪。司法取引は、長女を30日以内に米国に戻すなどすれば、女性の有罪、無罪を当面は決めずに、3年後に軽罪扱いとする内容。長女が米国に戻った後、女性の拘束が解かれる可能性が高いという。女性は米国永住権を持っており、今後は長女と面会しながら米国で暮らす考え。
国際結婚が破綻した後の子どもの法的扱いを定めた「ハーグ条約」は、無断で子どもを国外へ連れ出された側が求めれば、相手国が子どもを元の在住国に戻すよう義務付けているが、日本は未加盟。日本政府は加盟に向け、必要な関連法整備を進める方針を決めている。
元夫の支援団体は、同様のケースで母親らが日本に連れて帰った子どもは300人以上としている。
元夫は閉廷後「元妻を刑事裁判にかけるのは胸が痛む。子どもも心の傷を負い、誰にとってもマイナスだ」と述べ、日本政府にハーグ条約加盟を急ぐよう求めた。