【2011.06.03】 クリーン
【ストーリー】
往年のロックスター・リーを夫に持つエミリーは二人の間の息子をリーの父親の住むバンクーバに預けて、仕事とクスリに依存していた。あるとき、リーが薬物の過剰摂取で死亡。エミリーも麻薬所持で逮捕されてしまう。半年の刑期を経て、リーの父親に会うエミリーだが、そこで父親に言われたのは息子のジェイは自分たちが育てるので、しばらくは会わないで欲しいという申し出だった。
【感想】
刑務所を出てからもしばらくは薬物にすがるエミリーだが、息子に会いたい一心で生活を改めることを決意する。パリに住んで、仕事を見つけた彼女は息子を監護するリーの父親宛に手紙を書く。たまたまリーの母親、つまり息子ジェイの祖母の病気の検査でロンドンにきていた義父は母子を会わせようと試みる。
つまり、母子を引き離そうとしているのは息子を殺されたと思い、恨みに思う義母の方なのだ。義母は孫に「お父さんを殺したのはお母さんだよ」と吹き込み、それを信じる息子はパリまで祖父につれてこられるが母親に会うことを拒否する。一方、やっと息子と会えると思って喜んでいたエミリーは失意で泣き出してしまう。「私だって努力したんだ」という義父に「ダメならこんなに期待させないでほしい」と泣くエミリーの気持ちは痛いほどわかって、ついこちらも涙ぐんでしまう。
一度は悲しみのあまり飛び出してしまうエミリーだが「人間は変われる」「私は病気の妻を傷つけたくはないが、年寄りがいつまでもジェイを面倒見れるとは思えない」という話を聞いて、勇気をもって息子と対面することを決意するエミリー。
息子に会いたい。でも嫌われたらどうしようという恐怖。
そうして、ぎこちない再会を果たす。
最初は構えていた息子もやがて少しずつ気持ちを開いていく。
この映画では、エミリーの義父になるアルブレヒトが理解のある人格者で、孫も、また引き離しを続ける妻も愛しているのがよくわかる。そうしてどうするべきかを冷静に考えている。
アウトローや、薬物摂取を、どことなくカッコいいものに仕立てる嫌いはあるし、あまりにも簡単に解消される母子の葛藤は現実感がないけれど、アルブレヒトの優しく暖かい言葉に気持ちが癒される気がする映画だった。













