【2012.10.14】 『離婚毒 -片親疎外という児童虐待-』
『離婚毒 -片親疎外という児童虐待-』
R.Aウォーシャック(著)、青木聡(翻訳)
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単独親権制度の日本では離婚後、非監護親に会うのは子どもにとって悪影響と考える人も少なくなく、『子どもが「会いたくない」と言えば会わせなくてもよい』、『「会いたい」と言ったら会わせる』という考え方が一般に浸透しているのではないだろうか。子ども自身も「自分の意思で(別居親に)会わなかった」と思っていることも多いが、実はこれこそが「離婚毒」であり、その背景には子どもの成長にとって非常に深刻な「片親疎外」が潜んでいることが、日本ではまだあまり知られていない。
子どもは育てられている同居親の考え方や感じ方に影響を受けやすく、同居親が別居親に対して怒りを露にしたり、そこまで露骨でないとしても別居親に対する否定的な言葉遣い、声色、表情をしたりすれば、子どもに別居親を拒否させることはいとも簡単である。
この本は、子どもを「離婚毒」から救うことを主眼にして、最初に「片親疎外」を引き起こしうる言動、プロセスについて触れている。不幸にして子どもが「離婚毒」に毒されてしまい、子どもが別居親を拒絶するようになってしまった場合、あるいは攻撃的になってしまった場合、子どもとどう接したらいいのか、どのように救い出してあげられるのか、8章に渡り詳細に説明されている。
また、子どもに拒絶反応があるからといって、一概に片親疎外が行われているともいえない場合もあり(別居親に原因がある場合や子どもが思春期の時など)、誤診を見抜く方法についても触れている。子どもと愛情のある関係を継続すること、子どもが両方の親(同居親と別居親)に対してよりバランスのとれた見方をできるようになることを目標にし、それぞれの立場の人が(同居親、別居親、親戚など)、いかにして子どもを「離婚毒」から守るかがわかりやすく書かれている。
この本を手にするのは、おそらく「片親疎外」に悩まされている別居親が多いだろう。しかし、学校関係者や保育所の先生、離婚した夫婦を親戚にもつ人達など、第三者の立場の人達にも、「片親疎外」は児童虐待であることを認識し、「離婚毒」に毒されている子どもたちを救うために是非一読してもらいたい。