【2010.07.05】 離婚後の共同子育て -子どものしあわせのために-
![『離婚後の共同子育て -子どものしあわせのために-』エリザベス・セイアー&ジェフリー・ツィンマーマン [著] 青木聡 [訳]](documents/book20100705.jpg)
『離婚後の共同子育て -子どものしあわせのために-』
エリザベス・セイアー&ジェフリー・ツィンマーマン [著]
青木聡 [訳]
※画像をクリックするとオンライン書店(Amazon)のページが表示されます。
心理学の実証的研究によると、子どもの健全な成長のためには、子どもが両方の親と豊かな交流の経験を積み重ねていくことが欠かせない。したがって、両親が離婚した場合は、子どものために親子交流の継続を大変な努力で工夫する必要がある。欧米諸国では、こうした研究成果を踏まえて、離婚後の親子交流を単なる「面会」ではなく「子育て時間」としていかに充実させるか、それが最大の論点になっている。
一方、日本では離婚後の単独親権制度を採用しているために、子どもと別居親の交流が途切れてしまうことも珍しくない。「子どもを別居親と会わせたくない」と身勝手に主張する同居親(あるいは「子どもの養育費は払いたくない」と身勝手に主張する別居親)が後を絶たず、裁判所も離婚後の親子交流の重要性にまったく無頓着かつ無責任な審判を繰り返している。自己中心的な大人たちの都合に振り回されて子どもたちが深く傷つけられている実に惨憺たる状況といえる。
たしかに、離婚時に激しく争った高葛藤の両親にとって、別れた後に協力して子育てを続けることはとても難しい。面会交流の日時や場所を打ち合わせる連絡にはじまって、面会交流時の受け渡しのトラブル、子育て観の違い、特別なイベント(誕生日、発表会、入学式、卒業式、結婚式など)の取り決め、再婚後の子育てなど、検討・準備しなければならない事項は山積している。
本書は、子どものもう片方の親との争いに妄執している大人たちが、子どものしあわせのために矛を収めて、「離婚後の共同子育て」に取り組まなければならないことを教える一冊である。「離婚後の子育てプラン」で取り決めておくべき具体的な項目やガイドラインが示してあり、きわめて実用的な内容となっている。また、「離婚後の共同子育て」を妨げる「片親疎外」についても解説している。離婚を争っている親たち、離婚問題に関わるすべての専門家たちに、ぜひ読んでほしい。












