【2010.06.29】 『離婚で壊れる子どもたち 心理臨床家からの警告』棚瀬一代著

『離婚で壊れる子どもたち 心理臨床家からの警告』
棚瀬一代[著]
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離婚後の片親不在や、片親疎外の中で育った子どもが、その後どのように発達していくか、日本では専門家の間でも真正面からとりあげられることはなかった。本書は米国の実証研究や著者の臨床経験がもとにされており、子どもの最善の利益は万国共通であることを「科学として」論じている。
引き離された当事者であれば誰もが感じる「親子交流の継続性」こそが、「子どもの福祉」に適うのであって、未熟な監護親の自己本位な言い分を尊重し、別居親との交流を制限する裁判所の振る舞いは、別居親と子どもとの絆の形成という視点からは取り返しのつかない誤りを犯していることを、臨床事例で明確にしている。
大きくなってから急に親子の交流を始めても、どこかよそよそしい親子関係しか築けないのに、それで仕方なしとする日本の現状は、如何に子どもの成育にとって危険であるか警鐘を鳴らしているのである。
本書は、子どもと引き離されている当事者だけではなく、監護親、裁判所関係者、弁護士、学校関係者などにも、先入観を捨てて是非素直な気持ちで読んでもらいたい一冊である。












