【2015.08.09】 米国ユタ州で共同親権が成立しました
以前に親子ネットでも講演してくださった、医師堀尾英範さんのブログ「堀尾の保健学」からの紹介です。
ここできちんと理解しておかなければならないのは、身体的な共同親権(文字どおり両親の居所を行ったり来たりして過ごすこと)でなくとも、少なく とも年間100日は離婚後(あるいは別居後)、子どもと過ごしていることです。ユタ州の場合は110日だそうです。
日本の家裁は、面会交流の取決めを細かく設定しない傾向があります。その理由として度々聞かされるのは、あまり細かく設定すると柔軟性がなくなる ので、双方で協議して決められる余地を残した方が良いとの考え方です。しかし、できるだけ顔も合わせたくない、話もしたくない元夫婦に、健全な協 議を期待することはできませんし、都度協議は却って確定を難しくします。
それではどうするかというと、協議の余地がないほど、事細かに取決めするのです。これが海外でやられる方法です。契約社会の外国だからできることで、日本にはそぐわないという人がいますが、面会交流を促進するためのに理に適った手法です。アメリカ人はドライだから、元配偶者に対する恨みつらみがないわけではありません。それは日本人と同じです。そうだとしても、ビジネスライクに親業を全うできる仕組みを整えてあげているのです。
事細かに取決めすることで、単にルールを守ればよいことになります。元配偶者と協議をする必要がなくなり、顔をあわせることもコミュニケーション することも最小限で済むようになります。その取決めの中に、もし都合が悪くなった場合は、都合が悪くなった方が、いつまでに、どういう手段で連絡し、代替日時を提案しなければならないと盛り込むのです。これによって、責任の所在がどちらにあるか明確になります。言い換えると、できるだけ元 配偶者とコミュニケーションを減らす工夫をするのです。電話やメールのやり取りすらしたくなければ、今の時代では、共有のWebカレンダーを利用 し、必要最低限の伝言だけにする方法も薦められたりします。
元夫婦がコミュニケーションがとれるのが理想ですが、そうでなくとも面会交流は可能なのです。元夫婦の関係に関わらず、最低限、母と子、父と子の関係が独立に維持できていれば、それで親子断絶は防ぐことができます。日本の家裁も、夫婦間の信頼関係がなくとも、面会交流を実現する方法に積極的になるべきです。まずは夫婦間の信頼関係再構築などといっていたら、いつまでたっても面会交流が始められません。子どもの成長は待ってくれない からこそ、無条件に即面会交流を開始するようにしなければ、根本的な解決になりません。夫婦間の信頼関係再構築はその後でも構いませんし、最後までできなくも、それはそれで仕方のないことです。