【2014.08.16】 「共同養育に関する初の国際会議」のご紹介
「共同養育に関する初の国際会議」の話題をご紹介
アメリカの「National Parents Organization」は、第1回目の国際会議をドイツのボンで、2014年7月9日から3日間開催したと、毎週発行するネット会報で報告しました。
National Parents Organizationのネット会報はこちらから参照できます。
ICSPのレポートはこちらから参照できます。
この国際会議には19の国から、学者、実務家、非政府組織の代表者ら、約100人が参加したそうです。この会議のテーマは興味深く、「実証的研究による証拠と、現実の法制度のギャップを埋めること」でした。会議で討論され、以下の6点の内容が会議の重要事項として合意されました。
1.
離婚後の養育の設定として、「単独親権」や「片親と暮らす命令」や「自由裁量による子どもの最善の利益」の設定では、離婚家庭の子どものニーズを満たすことはできない。「共同養育」の設定は、子どもの発達や福祉に関して、葛藤の高い家庭でも低い家庭でも、最も適切な設定である。共同養育のために必要な時間は、子どもが最低でも3分の1ずつを各親と過ごすことであり、もし2分の1に近いならば、さらに利点がある。なお、これには、週日と週末の両方が含まれなければならない。
2.
「共同養育」とは、子どもの年齢や発達に応じて、父親と母親の間で、親の権限(意思決定)を分かち合うことと、日々の育児の責任を分かち合うことの両者が含まれる。つまり「共同養育」とは、父親と母親が、同居していようと別居していようと、親の義務(責任)を共に引き受け、親の権利を共に行使する状態である。
3.
家族法は、最低でも、片方の親がそれに反対している場合でも、共同養育の命令を出すことが可能でなければならない。両方の親に育てられることは、子どもの権利であり、国際的な人権であり、多くの国では憲法上の権利である。
4.
次の原則を、離婚後の養育の設定を決める際の基本方針にすべきである。①共同養育は、離婚後の子どもの最善の利益の観点から、大多数の子どもには最適の設定である。②両方の親の意思を尊重し、両方の親の自己決定を尊重すること。③子どもの最善の利益に関して、裁判所の自由裁量には制限を行うこと。
5.
上記の方針は、争いの激しい家庭の子どもを含む大多数の子どもに適用されるが、DVや児童虐待が実際にある場合には適用されない。片親疎外を含む、全ての形態の児童虐待と親権との関係についての研究を、優先的に行うことが要請される。
6.
共同養育の設定を法律上の大原則として採用し、その設定をうまく成功させるためには、家庭問題の調停やその他の支援サービスを行う「家族関係センター」のネットワークの設立が必要である。
次回のこの国際会議は、来年2015年5月28日から3日間、ドイツのボンで開催される予定だそうです。次回は、離婚後の養育の法的決定について討論が行われ、ガイドラインが作成される予定とのことです。また、片親疎外を含むあらゆる形態の児童虐待や家庭内暴力について討論が行われる予定です。
日本の現状を憂い、私たちが主張してきたことと、ほとんど同じです。
日本で子どもの福祉に関わる仕事をしている方々に、是非参加していただきたいですね。