【2009.03.17】 『第3回国会勉強会』レポート
3月17日、衆議院第二議員会館にて、親子ネットは、「離婚後の共同親権を考える勉強会―離婚・別居によって会えなくなった親子第三回」を開催した。
この日は、衆議院の本会議が開催中であり、参議院でも各委員会が開かれていたため、議員は代理出席や資料請求が多かったが、下村博文衆議院議員が出席したほか、自民、公明、民主、社民、共産の18名の国会議員ほか政党関係者が参加、50名の来場者が第一会議室を埋めた。
また、今回の勉強会に前後して、3月4日産経新聞、3月5日「ふぇみん」、3月20日夕刊フジと国会勉強会での報道がなされたほか、ヤフーニュースで「共同親権意識調査」が行われる(結果は共同親権制度の新設に賛成58%〈7902票〉、反対29%〈3935票〉 、わからない14%〈1884票〉)など、この問題に対する各方面での関心の高さがうかがわれる。
今回のテーマは、「離婚と『子どもの最善の利益』」。
日本では「子どもの福祉」を理由に裁判所が親子の交流を阻害するのに対し、共同親権・共同監護が実現した国では、「子どもの最善の利益」をもとに離婚にともなう子どもの養育が決められる。
当事者の報告では、1年以上にわたって子どもと引き離され、自身も親の離婚を経験した大空美晴(仮名)さんが報告。子どもと引き離された後、以前は母親のことを気遣っていた小学校3年生の息子が、電話口で、「もうあなたと会いたくない、一生会いたくないし死んでも会いたくない」など母親を責めるようになった、その変貌振りに来場者は水を打ったように聞き入っていた。
『離婚と子ども』の著者、臨床心理士の棚瀬一代さん(神戸親和女子大学教授)は、子どもにとっての離婚体験とは「地面が揺らぐほどの」喪失体験であることを指摘。アメリカで広まった共同監護が、離婚に伴う一連の喪失体験を和らげようとする試みであることを強調した。
また、善積京子さん(追手門学院大学教授、家族社会学)は、スウェーデンの裁判所で、どのような基準で、共同養育の取り決めがなされるかを解説した。スウェーデンでは、子どもの権利条約に準じて、子どもに関する決定では、社会や親の利益よりも「子どもの最善の利益」が最優先される。また、一方の親が単独養育を唱えても、裁判所が共同養育の決定を下すこともできる。離婚後も両親と親密でよい関係をもつことが子どものニーズ・最善とされるスウェーデンと、子どもとの接触を妨害する親に対する批判がほとんどない日本の違いが際立つ講演内容だった。
4月の勉強会では、国際的な子の奪取に関する民事面でのハーグ条約についてテーマに取り上げ、開催する予定。
離婚すれば子どもと会えない日本の現状は、国際社会の中でますますきわだつことが、勉強会を重ねるごとに明らかになってきている。(宗像 充)
「これまでの勉強会参加議員(代理出席、資料請求のみ含む)」
衆議院
下村博文(主催 自民)
あべ俊子(自民)
泉ケンタ(民主)
いちむら浩一郎(民主)
枝野幸男(民主)
大口善徳(公明)
太田かずみ(民主)
小川淳也(民主)
小川友一(自民)
小宮山洋子(民主)
後藤田正純(自民)
末松義規(民主)
田中良生(自民)
谷公一(自民)
とかしきなおみ(自民)
長島昭久(民主)
西村ちなみ(民主)
野田聖子(自民)
萩生田光一(自民)
馳浩(自民)
古屋範子(公明)
保坂展人(社民)
牧原秀樹(民主)
松本洋平(自民)
森山真弓(自民)
柚木道義(民主)
参議院
石井みどり(自民)
尾立源幸(民主)
喜納昌吉(民主)
近藤正道(社民)
榛葉賀津也(民主)
谷岡郁子(民主)
千葉景子(民主)
仁比聡平(共産)
林久美子(民主)
姫井由美子(民主)
福島みずほ(社民)
牧山ひろえ(民主)
増子輝彦(民主)
円よりこ(民主)
水戸まさし(民主)
「このほか、請願署名の紹介議員になっていただいた議員は以下のとおりです」
下村博文(自民)
あべ俊子(自民)
泉ケンタ(民主)
いちむら浩一郎(民主)
枝野幸男(民主)
大河原雅子(民主)
大口善徳(公明党)
太田かずみ(民主)
小川淳也(民主)
小沢鋭仁(民主)
小宮山洋子(民主)
末松義規(民主)
谷岡郁子(民主)
千葉景子(民主)
長島昭久(民主)
仁比聡平(共産党)
保坂展人(社民)
福島みずほ(社民)
増子輝彦(民主)
松本洋平(自民)
円より子(民主)
柚木道義(民主)
たくさんの参加、ご協力ありがとうございました。