【2011.05.21】 LIBRA2011年5月号 63期リレーエッセイ 『面会交流事件から見えてきたこと』
私達がこの新人弁護士のエッセイをここで紹介したいのは、真の『子どもの最善の利益』が何か、それを念頭において行動していることが伝わってくるからである。こんなことは当たり前ではないかとお思いになる方もいらっしゃるかもしれないが、日本には、クライアントの利益と称して、子どもと非監護親との交流を引き裂くために心血を注ぐ、節操のない弁護士が多数存在する。我々は、このような弁護士によっても、親子の絆を断たれている実態がある。
共同養育が当たり前になっているアメリカにおいても、以前は、クライアントの利益を優先して、引き離し弁護が横行した時代があったと聞く。しかし、そのような弁護が、子どものために相応しくないと反省し、弁護士会全体として、少なくとも家事事件においては、たとえそれがクライアントの利益であったとしても、そのような弁護活動をやめたのだという。
日本の弁護士は未だに、クライアントの利益ともっともらしいことを言いながら、自身の利益を最大化することに走っている有様である。一般的には知識人と思われている人たちが、本質を考えることなく金儲けに走る姿は、憤りを通り越して、なんと心の貧しい国だろうとがっかりする。
自身も当事者となり、この問題に多く携わるようになった。裁判官はいうに及ばす、弁護士も含めた司法会全貌が明らかになるについて、多くの当事者がそうであるように、司法を全く信用できなくなっている。そんな状況にあるからこそ、この新人弁護士のエッセイが一際輝き、私たちの心に安らぎを与えてくれた。
(編集部コメント)












