2011年09月04日 時事通信 『米国務次官補の発言要旨』
米国務次官補の発言要旨
【ワシントン時事】キャンベル米国務次官補の会見での発言要旨は次の通り。
日本のハーグ条約批准の方針表明は喜ばしいが、条約の原則を損なうような国内法は望ましくない。条約加盟だけでなくこれまでの事例の解決に向けた日米協力が重要だ。中には何年も子供との連絡を絶たれている痛ましい例もあり、家族の苦悩は筆舌に尽くし難い。
米国はこの問題を良き同盟国として処理しようと努めてきた。クリントン国務長官は外相会談のたびに問題を提起し、バイデン副大統領も訪日時の菅直人首相(当時)との会談で、親たちの苦悩に対処することが急務だと指摘した。
日本では問題が広く認識されておらず、啓発努力が必要だ。これは日本国内の離別家族にも関係する。(離婚後の親権は通常母親が持つ慣習があり)重要な法律問題をあいまいにしがちな文化的規範が存在する。条約加盟に際して注意深い検討が求められる。
人間的視点で見てほしい。米国は北朝鮮拉致問題を理解してほしいとの訴えに応じた。状況は非常に異なるが、最愛の人が家族から引き離され、面会や連絡が不可能になる点では共通する。東日本大震災や拉致問題など日本の友人に深刻な問題が起きたとき、米国は格段の支援に努めた。
日本政府にこれまでの事例への責任ある検討を求める。問題が長期化すれば、日本が米国人の子の福祉に関わる重要課題に対処していないと認識される恐れは高まる。
日本の政府や国会には、条約加盟や事件対応に反対するグループがあるが、大半は誤解や知識不足に基づく。配偶者暴力(DV)の主張は大抵、根拠なく使われている。子を失った上に虐待者扱いされるのは非常に痛ましい。
強固な日米同盟が両国にとって最善の利益であり、両国を分断する問題は望まない。米議会で公聴会が開かれたり、日米関係を損ないかねない請願や法案が出されたりしているのは警告のサインだ。行動すべき時が来ている。
進展がなければ、米政府は他の法的手段を検討する用意がある。日本の新政権と近くハイレベルで協議を行うが、この問題も俎上(そじょう)に上る。国務長官と副大統領が問題提起したことが事の重大性を示しており、その重大性は高まる一方だ。この問題は日米関係の主要課題になっている。(2011/09/04-18:04)